保険は難しいと言いますが、保険自体はそんなに難しいものではありません。難しくしているのは
どんな保障が必要なのか分からない
どの商品で揃えれば良いのか分からない
この2つがあるから余計に混乱するのです。それぞれを分けて考えるとシンプルになり、自分に必要な保障が見えてくるようになります。
難しいと思われている保険選びをなるべく簡単にする方法
保険が難しいと言われる原因
保険が難しいと言われてしまう原因は上述した2つの理由に加え、保険を考える際に保険の専門家と言われる人に相談することが多いと思いますが、その専門家から
「こうなってしまうとお金がかかってしまい大変ですよ」
と脅されれるからです。相談者は心配があるから保険に加入しようとしているので、お金がかかってしまうと言われると当然心配になり、それであればその保障も必要だと感じるようになるのです。想定外のリスクを言われて考える場合もあるし、そうではない場合もあると思います。本当に必要なのは、
自分が直面したら困るリスク
それに対して備えるのが民間の保険の役割です。民間の保険で備える前に健康保険もあれば高額療養費制度もあるし、介護保険もあれば会社員の方であれば健康保険組合独自の手厚い保障もあるかもしれません。そのような公的保険制度では備えきれない金銭的損失に対して民間の保険で備えるというのが本来の役割で、何もかも民間の保険で備える必要は無いのです。
経済的に困らない状態にする
保険を考える際に必要なことは、
自分が直面したら困るリスク=経済的なリスク
なのです。病気になったりケガをしたら困りますが、そうなってしまうことは避けられないこと(予防できれば良いのですが)かもしれません。リスクが発生するかどうかは誰にも分からないことなので、もしそのリスクが発生したら、
経済的に困るかどうか
を考える必要があります。最近のことで言えば新型コロナがありましたが、発症が分かってから数日間は仕事が出来なくなりましたが、そこで被る損失はどれくらいでしょうか。重症度によって治療費は個人差がありますが、それによって経済的に立ち行かなくなることは考えられるでしょうか。ほとんどの方はそんなことはないとおっしゃると思います。
新型コロナに対して保険で備えるべきかどうかと言えば、その必要は無いという答えが出てくるのです。
保険で備えることが出来る分野は
医療、死亡、介護、老後、火災、自動車
です。そうなった時にどう対応していくのか、経済的困難にならないために何で備えるかということを考える必要があるのです。経済的な困難にならないのであれば、保険で備える必要はありません。
保険は万能ではない
保険の役割はあくまで発生するかどうか分からないリスクに備えるもので、経済的困難を回避するための手段に過ぎません。ここで問題となるのは、発生するかどうか分からないという点です。2人に1人ががんになると言いますが、発症する年代も違いますし男女によっても変わってきます。大雑把に言えば50%の確立でならないとも言えるのです。でもなるかならないかを考えるのは意味のないことで、がんになった時に何で備えるかを考えるべきなのです。私はがんにならないと思うという方もいらっしゃいますが、そこにはなるかならないかの根拠はありませんし、分からないことを考えても意味はありません。それよりもがんになった時に治療費がかかってしまいますが、それを何で補うかということを考えておかなければなりません。
貯蓄とは別に余裕資金があり、自分が病気やケガをしたときにはそこから賄う事が出来るのであれば何の問題もありませんし、毎月保険料を払うよりも効率的に対応出来ます。そもそもなるかどうかも分からないことのために保険料を払うのですから、効率が悪いと言えばその通りなのです。
リスクが発生した時には有効な手段となりますが、何もなければ何の役にも立たないのが保険なのです。貯蓄というお金であればリスクが発生した時にも使えますし、リスクが発生しなければ他の事にも使えるという点で合理性は高いと思います。
保険の守備範囲を決める
そうは言っても保険が役に立たないという訳ではありません。全部を保険で備える必要はありませんが、全部を貯蓄で賄う必要も無いのです。これは貯蓄がどれだけあるのかによっても変わってくることですが、全て貯蓄で対応しようと考えていても、実際にリスクが発生した際に思ったよりも貯蓄が少ない場合も考えられます。普通の人は病気やケガをすることなどはあまり考えませんし、復職するまで長期に渡ることも考えることはありません。病気やケガをしてもすぐに復帰することは想像できても、長期になる、つまり貯蓄ができないどころか減少させるだけの期間が長く続くということは想像しないものです。保険の役割は損害額の補填というものであり、治療費で減ってしまった貯蓄を補填する役割もあるのです。
最近の傾向として貯蓄で備えると考える方も多いのですが、それは貯まってからのことであることを認識しておいた方が良いと思います。特に若い方でこのように考える方もいるのですが、それはずっと支障がなく働けることが前提となり、途中でリスクが発生したら貯まるものも貯まらない状況になってしまうことも考えておかなければなりません。一見すると合理的に聞こえますが、落とし穴もあるかもしれないと考えておかなければなりません。
ではどうしていけば良いのかと言えば、
保険での守備範囲を決めておく
ことをお勧めします。保険である程度賄うのですが、想定以上になった場合には貯蓄で対応していくというように考えるのです。何もかも保険で賄おうとすると保険料がバカ高くなりますし、それだけで貯蓄部分が減っていってしまいます。
医療保険で考えるのであれば、入院と手術は保険で賄い、食事代などの自己負担分は貯蓄から出す、というように区別するのも良いでしょう。どこで線を引くかはそれぞれの判断になりますが、全てを保険で賄うよりも保険料も抑えられるし、資金の流動性の確保にもつながります。
でも死亡保障だけは逆の考え方の方がよいと思います。過大に掛ける必要はありませんが、若干の余裕を持った保障額を設定した方が良いと思います。
保障は安かろう悪かろうである
保険商品を選ぶのは難しいというか、一般の人にはできないと思います。保険は商品を選ぶのではなく、保障内容で選びましょう。同じような保障内容が書かれているものでも支払要件が違い、A社では受け取れるものがB社では受け取れないということもあります。保険金を受け取りやすい保険は保険料が高く、保険金を受け取りにくい保険は保険料が安くなる傾向にあります。受け取りしやすい商品であれば保険金の支払が増え、受け取りしにくい商品であれば支払は少なくて済むからで、保険は安かろう悪かろうがハッキリと保険料に現れる商品なのです。
「安くて良いものありますか?」
と聞かれますが、
「安くて良い商品はありません」
とお答えしています。安いというのは保険料と分かりますが、何が良いと判断する基準かは人それぞれで分かりません。保険料が安くて保険金もたくさん支払う保険なんてありえないのです。
保険金の受け取りはほどほどで良いから、安くて良いものというのであれば分かります。保険料を支払っているのだから、何かあったらたくさん受け取りたいと考えている人であると、いざ給付の際に不満が残るものになってしまうでしょう。
このようなことを頭に入れて保険を選ぶ必要があります。そのために保険でどこまで備えるかを想定しておく必要があり、貯蓄で賄う割合が高ければ保険料が安いものを選択しても良いでしょうし、逆に保険で賄う割合が高ければ保険金の支払要件もしっかり見ていかなければなりません。
まとめ
備えるべきリスクを明確にする
まずは自分がどのような保障があれば良いかを考えましょう。自分がどのようなリスクに対応しなければならないのかを考え、備えるべきリスクを備えなくても良いリスクを区別し、保険で備えるのか、それとも他の手段を選ぶ事が出来るのかを判断しましょう。
対応手段を選ぶ
リスクに対応出来るのは保険だけではありません。現金預金があればそれでも良いですし、無ければ保険を選択することになります。それでも保険でカバーする範囲を決め、それ以上になった時には預貯金でカバーすると割り切った方が良いでしょう。
支払要件をきちんと見る
どうせ保険に入るのであれば、受け取れるものはより多く受け取りたいと思うのが心情でしょう。けれども保険商品にはそれぞれに支払要件というものがあり、同じ病気やケガの診断書でも受け取れる場合と受け取れない場合もあるのです。受け取り要件が広ければ保険料は高くなるし、受け取り要件が狭ければ保険料は安くなります。どちらが良い悪いではなく、どちらを選ぶかを自分で決めることが必要になります。
担当者に勧められたから
では手遅れになります。保険種類によって受け取り方を選ぶことは可能なので、それぞれでどう受け取るか、何で損失を補填するかも考えておくと良いでしょう。
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