保険は経済的な損失を補うための手段に過ぎませんので、お金が増えたりするものでもなく、保険料がかかるのでむしろ減る事の方が可能性としては大きいでしょう。それでも保険に加入するのは、経済的な保障を得るために加入するのです。
保険の役割は経済的な保障
対応すべきリスクを考える
人間であれば生きている限り様々なリスクに直面しながら生きています。どんなリスクがいつ発生するかは分かりませんし、もしかすると発生しないことも考えられます。例えばがんは2人に1人ががんにり患すると言われていますが、50%の確立でり患するかもしれないし、50%の確立でり患しないかもしれません。こればかりは時間が経過してからでないと分からないもので、それが分かれば怖いですけれども対策も立てやすくなります。よく「私はがんにならないと思う」と言う方がいますが、そればかりは根拠もなく言っているだけで、願望でしかないと思います。本来考えるべきことは、なるかならないかではなく、発生したらどうなってしまうのかということなのです。がんになったら次に考えることは「がんを治す」ということです。つまり治療費がかかってくるということです。治療のために仕事を休んで通院したり、手術のために入院することもあります。何はともあれ優先するべきことはがんを治すことになるので、がん治療のための費用もかかってくるのです。
経済的なリスクがやってくる
リスクが発生してしまったら経済的な損失も発生します。病気やケガであれば病院での治療費もかかりますし、仕事をしているのであれば休業を余儀なくされることもあるでしょう。そうなってしまった時には治療費を捻出しなければなりませんし、休業してしまった時にお給料が減ってしまう可能性も考えられます。
リスクが発生すると経済的な損失も発生する
ということを考えておかなければなりません。病気やケガなどのリスクが発生すると、その後に待ち構えているのが経済的なリスク(=損失)なのです。病気やケガで働けなくなっても、健康保険組合から傷病手当金が1年6カ月支給されるので、すぐに無収入になることはありません。けれども支給額は給料の2/3が支給される程度なので、給料ダウンは免れないし、治療費もかかってダブルパンチとなるのです。
給料が減った分をどうするかということと、治療費をどうするかということも考えなくてはならないということです。
経済的な保障は保険だけではない
リスクが発生した時の経済的な保障は保険だけが出来ることではありません。経済的な保障なのであくまで「お金」なのです。お金が潤沢にあれば保険で備える必要もありませんし、発生するかどうか分からないリスクに保険料を毎月かける必要もありません。貯蓄があれば貯蓄で賄うのも有効な手段であるし、株などの資産があれば売却することによって経済的な支えにすることも可能です。保険はその中の選択肢の一つに過ぎないのです。でも多くの人が保険という選択肢を選ぶのは、大きなお金がかかってしまうことに対しての備えが預貯金や資産では不十分だと考えるからです。人によってはお子様にお金がかかるから預貯金を取り崩したくないと考えるし、ある程度の預貯金はあっても減らしたくないためにリスクヘッジで保険に加入している人もいます。むしろそういう人の方が多いと思うし、リスクが発生しても保険でカバーすることで変わらない生活を保障するために保険を選択するということなのです。子供の教育資金や住宅ローンであったり、ご自身の老後資金など考えると資産を守らないといけないことも多く、資産を守りながら増やしていくことを考えると、保険という選択になっていくのです。
貯金は三角 保険は四角
保険業界にいると必ず聞く言葉なのですが、貯金は三角保険は四角とよく言います。
貯金は貯まるまでに時間がかかるので形にすると三角形になりますが、保険は加入した時から大きな保障も得られるという意味です。図にするとよく分かります。

貯金で1,000万円貯めるために毎月5万円支出したとすると、年率1%複利で約15年かかりますが、生命保険で死亡保障を,000万円に加入すると不慮の事故で1年後にお亡くなりになっても1,000万円は支払われます。貯蓄であれば約60万円にしかなりません。
そもそも毎月5万円を支出していくのは家計に大きな影響を与えてしまうかもしれませんが、死亡保険の定期保険であれば費用も抑えることは可能です。
しかし保険の場合は被保険者が死亡した時に得られる保障額であり、満期まで生存していたら受け取ることは出来ないものになります。貯蓄も大切ですしリスクヘッジも大切であり、どちらかが優れているとかいう問題では無いということです。
老後生活の収支比率を考える
老後に保険は要らないという方もいらっしゃいますが、収支比率を考える必要もあります。現役世代では収入もあるので病気やケガをしたとしても収入に対する支出の比率はそれほど高くなりませんが、リタイア後の年金だけの生活であると支出額は下がっても、収入もそれなりに下がっているので負担割合は現役の時よりも高くなることもあります。現役世代では治った後に収入があるのでリカバリーできると思いますが、年金生活の場合はそうともいきません。貯金が減る一方で増やすことはあまり出来ないのではないかと思います。
かと言って老後に過度の保険を持つ必要もありませんし、あれやこれや特約を付加して保険料を高くする必要もありません。どんなリスクに対して備えて、その時にどれだけの補填が出来るかを考えておけば良いのです。ちょっとした支出であればそれこそ貯蓄で賄えばよいでしょうし、わざわざそんなことに保険料を出す意味はありません。大きく貯蓄を崩してしまうようなことに対してだけ保険をかけるということも考えておく必要があると思います。
まとめ
保険を考えるときには避けるべき経済的な損失を考える必要があります。これはご自身の置かれた環境によって大きく変わってくるものであり、決まったパターンがあるわけではありません。子供がいるいないによっても対応するべきリスクは変わってきますし、将来のライフプランによっても大きく変わってきます。
どんなリスクに対してどんな経済的保障を得るか
を考えていかなければなりません。ちょっとしたケガや病気のために経済的保障を得る必要は無く、大きな支出が発生してしまうようなリスクを考え、その時にはどんな経済的保障手段を持っておくべきかと考えると簡単になると思います。大きな支出を余儀なくされるリスクというのはそれほど多くはなく、大雑把に言えば死亡、がん、就業不能ぐらいでしょうか。その時にどんな手段で経済的保障を得るかを考えていくと良いでしょう。
保険は使い方によっては非常に有効な手段となりますが、使い方によっては非常に非合理的な手段にもなってしまうものです。また保険は万能ではありませんので、貯蓄もリスクへの対応手段として考えることも必ず必要になってきます。
それぞれの環境や考え方に合った手段を組み合わせて選んでいくのがよろしいかと思います。
コメント